「その傷はどうした、レティー」
「ん？　こないだ姉さんに抱きつこうとしたら頭突きされちまってよ」
「……」
「頭突きに慣れてない姉さんの方が痛がってたけどな。すっげえ涙目になって面白かったぜ」
「…………。……」
「どうしたよヴァッツ？」
「……その、手の甲の火傷は、どうした？」
「胸触ろうとしたら紅茶ぶっかけられた」
「……頬の擦り傷は？」
「首筋舐めようとしたら拳で殴られた」
「……腕の歯形は？」
「服脱がそうとしたらがぶっと噛みつかれた」
「…………その、口元のできたばかりの青痣は？」
「さっき押し倒したら、思いっきり右拳で殴られちまってさ。おお、いてえ」



この男に傷をつけるのは

多分彼女だけ。

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　レティシアはMじゃありません。
　ヒロインが全力で嫌がる姿を見るのが好きなだけです。

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